アクアリウムの飼育において「カルキ(残留塩素)を抜いた水を使う」というのは鉄則ですが、ことメダカの卵管理においてはその常識が逆転します。水道水で卵を管理する理由は、水道水に含まれる微量の残留塩素(0.1〜0.4mg/L程度)が持つ強力な殺菌効果を利用し、孵化前のカビ発生を防ぐためです。
卵の殻(卵膜)は強固であり、水道水の塩素濃度程度で中の胚がダメージを受けることはありません。むしろ、カルキ抜きをした飼育水を使うと水中の雑菌やカビ胞子が急速に増殖し、卵膜を覆い尽くして呼吸不全を引き起こします。毎日または2日に1回、容器の水を未中和の新しい水道水に全量換水する手法は、プロの間でも極めて確実性の高い管理法として定着しています。
さらに安全マージンを高める手法が、メチレンブルー水溶液によるカビ対策です。薄い青色(水が透き通って見える程度の濃度)に希釈したメチレンブルー水溶液に卵を浸漬管理することで、高い抗菌作用を発揮します。
メチレンブルーには「無精卵や死卵だけを青く染め、生きた有精卵は染めない」という優れた特性があります。青く染まった卵はすでに死んでいるサインであるため、視覚的に判別して即座に除去できるという二重のメリットをもたらします。