インターネットの掲示板やSNSで頻繁に見かけるのが、「山岡家は横浜家系ラーメンの亜種である」という誤解だ。屋号に「家」が付き、太麺に海苔、チャーシュー、ほうれん草(山岡家では主に青ネギやトッピング)という構成から同一視されがちだが、ラーメン構造学的に両者は全く異なるルーツと製法を持つ。
家系ラーメンの多くは豚骨に鶏ガラを合わせ、仕上げに鶏油(チーユ)を浮かべることで芳醇な風味を作る。これに対し、山岡家のスープは水と豚骨のみを寸胴で丸3日間煮込み続け、スープの表面を覆う脂も豚肉・豚骨由来の純粋な豚脂(ラード)を採用している。鶏ガラを一切使用しないストレートな豚骨抽出だからこそ、あの力強い粘度と独特のコクが生まれるのだ。
また、セントラルキッチン方式を採用せず、各店舗の厨房に設置された巨大な寸胴で職人がアクを取り続けながらスープを育てるスタイルを崩さない。厚木店の厨房を覗くと、湯気の中で巨大な木ベラを振るうスタッフの姿が確認できる。店外まで香る濃厚な匂いは、工場製の濃縮エキスを薄めたものではなく、店内生炊きを徹底している何よりの証拠なのだ。