津田沼「とものもと」なぜ愛される?白血病を越えた奇跡の味と並び方

津田沼「とものもと」なぜ愛される?白血病を越えた奇跡の味と並び方

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「とものもと」を語る上で絶対に外せないのが、店主・市原朋宏氏の歩んできた波乱万丈の軌跡です。千葉県屈指の名店である「麺処 まるは」などで実力を磨き上げた市原氏は、2015年3月、船橋市の東中山駅前に自らの城として「とものもと」を開業しました。

オープン直後からその突出した味はラーメン業界の話題をさらい、各種新人賞を総なめにします。しかし、まさに順風満帆に見えたその矢先、市原氏を過酷な運命が襲いました。急性骨髄性白血病の発症です。店を突如休業せざるを得なくなり、過酷な抗がん剤治療と骨髄移植を伴う長期闘争へと突入しました。

当時の闘病記やインタビューにおいて、市原氏は「もう二度と厨房に立てないかもしれないという恐怖の中で、自分を支えてくれたのは家族の献身と、復帰を信じて待ってくれるお客さんの声だった」と述懐しています。壮絶な闘病の末、見事に寛解を果たした店主は、奇跡的な復活を遂げました。屋号である「とものもと」には、自身の名前である「朋宏の原点」という意味に加え、「友の集う場所」「支えてくれた人たちへの恩返し」という深い祈りが込められています。

その後、2020年3月に東中山から現在の京成津田沼へと拠点を移転しました。この移転理由について、一部では噂されたようなネガティブな要素は一切ありません。旧店舗の設備的な手狭さを解消し、仕込みのクオリティを極限まで高められる大型厨房を確保すること、そしてより多くの客が快適に過ごせる空間を整えるための前向きなステップでした。駅至近の好立地に移ったことでアクセシビリティも飛躍的に向上し、名実ともに千葉を代表する名店へと昇華したのです。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。