上を向いて歩こうが全米1位になった本当の理由と65年目の真相

上を向いて歩こうが全米1位になった本当の理由と65年目の真相

上を向いて歩こうが全米1位になった本当の理由と65年目の真相の要点を分かりやすくまとめてご紹介します。

なぜ日本語の意味を解さない海外のリスナーが、坂本九の歌声に涙を流し、ラジオへリクエストを送り続けたのでしょうか。そこには、中村八大による緻密なコード進行の設計と、坂本九ならではの類まれなボーカル表現がありました。

音楽理論的に見ると、この曲の主旋律は日本古来の民謡や童謡に多用される「ヨナ抜き音階(ファとシを抜いたペンタトニックスケール)」を基調としています。この音階は、スコットランド民謡やアメリカのブルース、フォークミュージックとも共通する音列であり、西洋人の耳にも郷愁や懐かしさを呼び起こす強力な引力を持っています。さらに、コード進行自体は当時のアメリカン・ポップスやドゥーワップの王道である「I - vi - IV - V7(いわゆる50s進行)」を基本とし、洗練されたジャズのテンションコードをさりげなく組み込むことで、古臭さを感じさせない都会的な響きを実現していました。

そして最大のファクターは、坂本九の歌唱法にあります。坂本九はエルヴィス・プレスリーに心酔してロカビリー歌手としてキャリアをスタートさせた背景を持ち、「ウエヲー・ムヒィー・テ・アール・コホオオ」というスタッカートの効いた母音の発音や、ファルセット(裏声)への華麗な跳躍、しゃくり技法を多用しました。このリズミカルでありながら哀愁を帯びた「九ちゃん節」は、言葉の意味を直接理解できない外国人に対しても、感情のうねりや心の叫びをダイレクトに届ける楽器のような役割を果たしたのです。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。