「関西の雪は重くて湿っている」という先入観を持つ人は、厳冬期の氷ノ山に足を踏み入れた瞬間にその認識を根底から覆されることになります。なぜこのゲレンデに上質の雪がもたらされるのか。その氷ノ山国際スキー場のパウダースノーの理由は、日本海から吹き込む冷たく湿った季節風が、中国山地の主峰である氷ノ山の険しい北東壁に激突し、一気に上空へと押し上げられて急激に冷却される局地気候(マイクロクライメイト)にあります。
マイナス5度を下回る厳冬期の朝、名物コースである「ロマンス右コース」や山頂直下の急斜面には、日本海側特有の密度の高いディープパウダーが降り積もります。氷ノ山国際スキー場のコース難易度は全体的に中・上級者寄りとして知られており、最大斜度37度を誇る非圧雪バーンは、エキスパートでも一瞬の油断が命取りになるほどのハードな設定です。ゲレンデ関係者の証言によると「寒波到来の翌朝、ピステンが入る前のファーストトラックを狙って午前6時台から駐車場で待機するコアなファンが後を絶たない」といい、浮遊感あふれるノートラックライドを求める層にとって、関西屈指の聖地として君臨し続けています。