臨床の現場で非常に多い相談が、「どこにもぶつけた記憶がないのに、手足に青あざがいくつもできている」という訴えです。単なる毛細血管のもろさ(老人性紫斑や単純性紫斑)である場合も多いものの、背景に全身性の重大な疾患が隠れているリスクを軽視してはなりません。
特に注意すべき点状出血や紫斑病の症状と代表的な基礎疾患には以下のものがあります。
- 特発性血小板減少性紫斑病(ITP):自己抗体によって血小板が破壊され、止血機能が低下する難病指定疾患。下肢を中心とした細かな点状出血や鼻出血、歯肉出血を伴います。
- IgA血管炎(旧称:アレルギー性紫斑病・ヘノッホ・シェーンライン紫斑病):小型血管の炎症により、やや隆起した触知可能な紫斑(触知可能紫斑)が下肢に対称性に出現。腹痛や関節痛、血尿(腎炎)を合併することが特徴です。
- 白血病・骨髄異形成症候群:造血幹細胞の異常により正常な血小板が作れなくなり、広範な皮下出血や貧血、発熱を呈します。
- 薬剤性皮下出血:脳梗塞や心房細動の予防で抗凝固薬(ワーファリンやDOAC)や抗血小板薬(アスピリン等)を服用している場合、わずかな刺激で巨大な血腫を形成しやすくなります。
「押しても痛まない無数の斑点がある」「歯磨きで出血が止まりにくい」「あざの範囲が数日で急激に広がっている」という兆候が見られる場合は、速やかな専門医療機関での採血・凝固能検査が求められます。