階段を上がった先にある学科教室の扉を開けると、意外なほど人影はまばらだった。かつてのような「すし詰め」の教室風景はここにはない。現場を大きく様変わりさせたのは、全面導入されたオンライン学科教習プラットフォームだ。受講生は自宅のPCや手元のスマートフォンから、高精度な顔認証システムを備えたe-ラーニング教習システムへアクセスする。24時間いつでも、自室にいながらにして法的要件を満たした講義を受けられる環境が整った。
「最初は画面越しの講義に集中できるか不安でしたが、AIによる視線監視やコマごとの理解度テストが組み込まれていて、居眠りなど一切できません」と語るのは、アルバイトと両立しながら通う短大生の女性だ。教室へ通う往復の移動時間を丸ごと技能教習の復習や予習に充てられるメリットは計り知れない。指導員側も対面授業の負担が分散されたことで、教習生一人ひとりの運転ログ分析や苦手項目の個別カルテ作成にリソースを集中できるようになり、実技の合格率向上に好循環をもたらしている。