庭に直接植えている地植え栽培では、根が広範囲に伸びるぶん、土壌の地力を活かした計画的なアプローチが求められます。基本となる地植えみかんの年間施肥計画は、春肥・夏肥・秋のお礼肥という年3回の施用で骨格を組み立てます。
まず押さえるべきは、みかん春肥の適期と施肥量です。春肥は年間施肥量の半分以上を占める基礎肥料であり、平均的な成木(樹齢10年程度)であれば、成分量で年間窒素約200gのうち100〜120gを3月中に施します。新梢が伸び、開花して幼果を結ぶエネルギーのほとんどは、春肥と前年の貯蔵養分でまかなわれるため、遅くとも3月下旬までに施用を終えなければなりません。
続いて、果実肥大を支えるのがみかんの夏肥追肥の正しいタイミングです。静岡や愛媛などの産地試験場の指針では、梅雨入り前後の6月上旬から中旬がベストとされています。この時期にカリウムを中心とした養分を補うことで、果実の初期肥大を促しつつ自然落果を適度な数で安定させます。ただし、7月に入ってからの多量施肥は、果皮が厚くなり中身がパサつく「浮皮(うきがわ)」や着色不良の原因になるため厳に慎みます。
そして、栽培者が最も軽視しがちなのがみかんのお礼肥を与える時期と理由です。収穫を終えた木は、子孫を残すために全身のエネルギーを使い果たし、著しい栄養失調状態に陥っています。このタイミングで適度なお礼肥を施すことで、落葉を防ぎ、冬の寒さに耐える体力をつけ、翌春の花芽形成に必要な窒素化合物を樹体内にストックさせます。このお礼肥を適切に施すことこそが、実が大量につく「表年」とまったく実らない「裏年」を交互に繰り返すみかんの隔年結果を防ぐ肥料管理の核心です。