隆の里の現役時代を語る上で欠かせないのが、同い年で同期入門の大横綱・千代の富士とのライバル関係です。幕内対戦成績は千代の富士の22勝、隆の里の18勝と競り合っており、全盛期の千代の富士が最も恐れた相手こそが隆の里でした。
隆の里の最大の強みは、徹底した左四つの型と強烈なおっつけ、そして千代の富士の高速の寄りや投げを完全に封じ込める精密な研究力にありました。千代の富士得意の「上手を取っての出し投げ」を徹底的に封殺する相撲巧者ぶりから、メディアや相撲ファンからは「ウルフキラー」の異名で恐れられました。
白眉となったのは、新横綱として臨んだ1983年秋場所の千秋楽です。14日目を終えてともに14戦全勝。相撲史上でも極めて稀な「横綱同士による15戦全勝相星決戦」が実現しました。超満員の蔵前国技館が地鳴りのような歓声に包まれる中、隆の里は千代の富士の速攻を力強く受け止め、完璧な寄り倒しで勝利。昭和相撲史に燦然と輝く名勝負として、今なお語り草となっています。