あの強烈なおばあちゃんキャラは、単なる思いつきで生まれたわけではない。志村けんが若手時代から続けていた、徹底的な「人間観察」が全ての出発点だった。街中で見かけるお年寄りの歩き方、膝の曲げ方、物の拾い方、そして独特の話し方のテンポ。志村はそれらをじっと観察し、自分の身体に叩き込んだという。
そのルーツは、彼がお笑いキャリアを本格化させた『8時だョ!全員集合』の時代にまで遡る。ザ・ドリフターズのメンバーとしてステージに立っていた頃から、志村は単に「老人を演じる」のではなく、「本当にそこに生きていそうなお年寄り」のリアリティを追い求めていた。膝をカクカクさせながら歩く所作や、急に遠くを見つめる目線など、日常のふとした観察がコントの元ネタとなり、あの愛くるしくもどこかシュールな国民的キャラクターへと昇華されたのだ。