室内環境を適切に管理するうえで、まず把握すべきは客観的な数値基準です。厚生労働省が定める建築物環境衛生管理基準や日本アレルギー学会の指針において、室内環境のカビダニ予防の適正湿度基準は40%〜60%と明確に定義されています。湿度が40%を下回るとウイルスの浮遊や喉・皮膚の乾燥が加速し、逆に65%を超えると黒カビやチリダニが爆発的に増殖する境界線となります。
では、なぜ特別な水漏れもない空間で湿度が異常に高まるのでしょうか。建築環境の専門家による実測データから見えてくる部屋の湿度が高い理由と原因は、主に次の3点に集約されます。
第一に、居住者の生活行動から生じる水蒸気量です。国土交通省の技術資料や住宅メーカーの実験データによると、4人家族が1日に家庭内で排出する水分量は約7リットルから10リットルに達します。調理時の湯気(1回約1〜1.5L)、入浴後の浴室からの湿気流入(約1L)、就寝中の呼気や発汗(1人一晩あたり約0.5L)、そして室内干し(洗濯物1回あたり約2〜3L)が、密閉された空間へ容赦なく水分を放出し続けています。
第二に、近年の高気密・高断熱住宅における「自然換気の減少」です。気密性が高まった住宅は冷暖房効率に優れる半面、意識的な給排気を行わない限り湿気が壁体内や室内に滞留しやすい構造になっています。特にコンクリート打ち放しのマンションや新築後数年のRC造住宅では、躯体コンクリート自体が数年間にわたって水分を発散し続けるため、湿度計が70%を指したまま下がらないというトラブルが頻発します。
第三に、外気条件と間取りによる通風障害です。北側に面した部屋や、窓が1つしかないワンルーム、家具が壁面に隙間なく配置されたクローゼット周辺は空気の「淀み」が発生し、局所的に相対湿度が80%を超える危険地帯と化します。