食の分野で見逃せないのが、年間出荷数が限られているため「幻の和牛」と称される伊賀牛の存在だ。盆地特有の厳しい寒暖差と、清らかな地下水で育まれたその肉質は、芳醇な香りとさらりとした上質な脂の旨味が際立つ。地元シェフたちは今、この希少な肉を軸にした「ローカルガストロノミー」を強力に推し進めている。
歴史ある酒蔵が醸す日本酒はもちろん、近年高い評価を得ている地元産ナチュラルワインとのペアリングが話題を呼び、週末には国内外の美食家がこの味覚のためだけに足を運ぶ。生産者と料理人が密接に連携し、その日の朝に収穫された旬の野草や野菜とともに提供する「土地の記憶を味わう体験」は、目的地型観光の理想形として結実している。