屋外の脅威がマダニであるならば、屋内の生活空間で警戒すべきはコナダニの大量発生原因とその健康被害です。コナダニ自体は人を刺して吸血することはありませんが、人体に甚大なアレルギー反応を引き起こす引き金となります。
特に注意すべきが、お好み焼き粉、ホットケーキミックス、たこ焼き粉、小麦粉などの粉製品を常温で長期間保管していた際に起きる「経口ダニアナフィラキシー(通称:パンケーキ症候群)」です。輪ゴムやクリップで袋を止めていただけの密閉されていない粉製品には、わずかな隙間からコナダニが侵入し、袋の中で数万〜数十万匹規模のダニ集合体が形成されます。
コナダニが大量混入した粉を使って調理した食品を摂取すると、ダニの虫体や排泄物に含まれる主要アレルゲンが体内に入り込み、食後数分から数十分で以下のような重篤なアレルギー反応を引き起こします。
- 全身のじんましん、激しい皮膚の痒み、紅斑
- 顔面や口唇、咽頭の浮腫(喉の腫れによる呼吸困難)
- 喘鳴(ぜーぜーという呼吸音)、血圧低下、意識消失(アナフィラキシーショック)
熱処理すれば安全という考えは致命的な誤解です。ダニのアレルゲン(タンパク質)は加熱しても熱変性しにくく、十分な加熱調理を経てもアレルギー活性を失いません。さらに、室内の畳やカーペットでコナダニが大量発生すると、それを捕食する「ツメダニ」が二次的に大発生し、夜間に人間を刺して激しい痒みと発疹をもたらす二重被害が発生します。