「病院から『来週までに退院先を決めてください』と迫られ、藁にもすがる思いで老健に入所させたが、2ヶ月目の面談で早くも『次の施設を探してください』と促された」
大手ネット掲示板やシニア系知恵袋、介護者コミュニティに寄せられる生の声には、制度の理想と現実の落差に対する悲痛な叫びが溢れています。多くの家族が頼りにするのが、いわゆる老健から特養への転所という「つなぎルート」です。
地域包括支援センターのベテラン主任ケアマネジャーは、現場の実情を次のように証言します。
「病院の退院期限に特養の入所が間に合わない場合、老健へ一旦入り、リハビリを受けながら特養の空きを待つのは王道の危機回避策です。しかし、近年の老健は国からの報酬改定に伴い、在宅復帰率を高く保たないと施設の基本報酬ランクが下がって経営が立ち行かなくなります。そのため、入所直後から退所調整が開始され、家族側が『特養に入れるまでずっと置いてほしい』と甘えていると、激しい摩擦に発展するケースが後を絶ちません」
家族側は長期療養のつもりで入所させてしまい、施設側はリハビリテーションと在宅移行の使命に追われる。この意識のズレこそが、退所トラブルを引き起こす最大の火種となっています。