テレビアニメ版では絶大な存在感を放つあいちゃんですが、「映画(劇場版)での出番が極端に少ない」という事実は長年ファンの間で疑問視されてきました。劇場版への出演は『嵐を呼ぶジャングル』(2000年)のエンドロールや、『夕陽のカスカベボーイズ』(2004年)の冒頭・カメオ出演など、ごく一部に限られています。
出番が限定される背景には、制作構造上の決定的な理由が存在します。劇場版クレヨンしんちゃんは「日常から切り離された過酷な冒険やサバイバル」が主軸です。しかし、あいちゃんがフル参戦してしまうと、「酢乙女財閥の軍事力・航空戦力・資金力によってあらゆるピンチが即座に解決してしまう」というデウス・エクス・マキナ(ご都合主義的な解決)のジレンマが生じるためです。あえて彼女を本隊から外すことで、かすかべ防衛隊5人の泥臭いチームワークを際立たせる演出意図があります。
一方、ファンの関心が高い「大人になった将来の姿」については、映画『超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』の荒廃した未来世界では直接的なメイン登場こそなかったものの、各種スピンオフや原作者の構想において「酢乙女グループの若き総帥として多忙を極めながらも、依然としてしんのすけを追いかけ続けている姿」が示唆されています。どれほど巨万の富を築いても、しんのすけへの純情を失わないスタンスは将来も不変の設定とされています。