なぜデニムの表側は青く、裏側は白っぽいのか。その理由は、デニム特有の織り構造と染色方法にあります。
デニム生地は、タテ糸がヨコ糸を2本または3本跨いで交差する綾織り(斜文織り)で織り上げられています。織り目の畝(うね)が斜めに走るため、平織りに比べて糸を高密度に打ち込むことができ、引き裂きや摩擦に対して極めて高い耐久性を発揮します。
生地の表面にはインディゴ染料で染めたタテ糸が多く露出し、裏面には染色されていない未染色の白糸(ヨコ糸)が多く浮き出ます。これにより、ロールアップした際に裏地の白が美しく覗く独特のコントラストが生まれます。
さらに重要なのが、インディゴ染色の「中白(なかじろ)」と呼ばれる現象です。デニム用のタテ糸は、芯まで染料を浸透させず、表面層だけを染める「ロープ染色」という技法が用いられます。着用による摩擦や洗濯によって表面の染料が削り落とされると、繊維の中心にある白いコットンが徐々に顔を出します。これが、デニム愛好家を惹きつけてやまない「ヒゲ」や「ハチノス」といった美しい色落ち・アタリの正体です。
なお、デニムの綾織りには右綾(ライトハンドツイル)と左綾(レフトハンドツイル)が存在します。右綾は糸の撚り方向と織りの方向が一致するため、生地が締まり、しっかりとした畝とシャープな縦落ちが特徴です(リーバイスの定番など)。対して左綾は、糸の撚りが解ける方向に織られるため、表面がフラットで柔らかく、全体が均一にフェードしていく特徴があります(Leeの定番など)。