ネット上の言説を調査すると、七転八起に関して2つの大きな誤解が流布していることがわかります。
誤解1:「七転八起」は中国の古典四書五経が出典である?
四字熟語の多くは『史記』や『論語』などの中国古典を原典としますが、七転八起という特定の四字熟語の連なりは、中国の古代文献には見当たりません。中国語圏では「百折不撓」や「屢敗屢戦」が同様の文脈で使われます。「七転八起」は、中国から伝わった仏教の概念やだるま伝説を土台にしつつ、日本国内で独自に熟語として洗練され、定着した和製四字熟語(または日本発祥の慣用表現)であるというのが国語学上の定説です。
誤解2:「何回失敗しても反省なしに挑戦し続けること」の推奨?
がむしゃらに突撃しては倒れることを繰り返すのが七転八起の本質ではありません。語源となっただるまは、倒れた瞬間と同じ重心のままでは起き上がれません。底部の重りによって「バランスの回復」を図るからこそ元に戻ります。つまり、自己の内部にある重心(軸や教訓)を修正しながら立ち上がることこそが、本来の思想的含意です。