「埼玉県には国際空港がないのに、なぜ話題になるのか」という疑問に対し、一部のネットコミュニティでは「成田や羽田から航空機に紛れ込んだ蚊が埼玉まで運ばれて刺したのではないか」という「空港マラリア(Airport Malaria)」説が語られることがあります。
欧州の主要国際ハブ空港周辺では、流行地からの直行便の貨物室に紛れ込んだ蚊が空港周辺の住民を刺して発症させた事例が過去に報告されています。しかし、これを日本国内、特に埼玉県のケースに当てはめるのは事実無根の拡大解釈です。
国際民間航空機関(ICAO)や世界保健機関(WHO)の厳格な検疫規定に基づき、マラリア流行地域を出発する航空機内では検疫のための機内噴霧消毒(ディスインセクション)が徹底されています。密閉されたコンテナや客室内で生き残った蚊が空港から数十キロメートル離れた埼玉県まで移動し、人間を探し出して吸血を成功させる確率は科学的に無視できる水準です。
「地球温暖化で埼玉が熱帯化してマラリアが定着する」という説も、原虫の生活環を無視した短絡的な都市伝説に過ぎません。都市伝説に惑わされることなく、正確な医学的知見に基づいたリスク評価を行うことが求められます。