検索エンジンで施設名を打ち込むと、候補欄に「怪しい」「B級」といった言葉が並びます。こうした先入観が生まれた背景には、施設の立地と外観が醸し出す独特のレトロフューチャー感があります。昭和50年代から平成初期にかけての観光ブームを彷彿とさせる原色の看板や巨大なオブジェは、現代の洗練されたミニマルな商業施設を見慣れた世代にとって、一種の異様さやミステリアスな気配を感じさせる要素でした。
一部のサブカルチャー雑誌やネット掲示板が面白おかしく「謎のスポット」として紹介したことも、噂の一人歩きに拍車をかけました。しかし、現場を訪れればその疑念は即座に晴れます。館内を満たすのは怪しげな宣伝や教義ではなく、気の遠くなるような手作業で壁一面、天井一面に敷き詰められた本物の貝殻群です。
シャコガイ、ホタテ、アコヤガイをはじめ、色も形も異なる世界中の貝が、龍や魚、海底洞窟の意匠となって立体的に迫ってきます。不気味さではなく、人間の手仕事に対する畏怖の念と、海底散歩を擬似体験する高揚感が空間を支配しています。「怪しい」というパブリックイメージは、外側だけを撫でた人々による早合点であり、内部に広がるのは職人の執念が生み出した純粋なアートインスタレーションです。