食の贅沢は、舌先だけで感じるものではない。伊賀の朝を語る上で欠かせないのが、約1200年の歴史を誇る伝統工芸「伊賀焼」との競演だ。職人が薪窯で焼き上げた野趣あふれる陶器は、保温性に優れ、淹れたての深煎り珈琲をいつまでも冷まさない。指先に伝わる土の凹凸と温もりが、朝の張り詰めた空気をゆっくりとほぐしていく。
一部の先鋭的なカフェでは、地元が誇る高級銘柄「伊賀牛」を用いた贅沢なモーニングサンドを開発し、食通の間で話題を呼んでいる。赤身の旨味が凝縮されたローストビーフに、地元産わさびをアクセントにした特製ソース。それが香ばしくトーストされたパンに挟まれ、豪快な伊賀焼の角皿に盛られて供される。地域の豊かな風土を五感で丸ごと味わう、至福のモーニング体験がここにある。