本作の最大の強みは、一度聴いたら耳から離れない強烈なフックと、当時の日本の最高峰スタジオミュージシャンが集結して構築された緻密なサウンドプロダクションにあります。作詞を手掛けたのはヒットメーカーの荒木とよひさ、そして作曲は当時弱冠20歳だった泰葉(海老名泰葉)自身、編曲は名匠・井上鑑が担当しました。
荒木とよひさによる歌詞は、異国情緒が漂うチャイナタウンの夜と、金曜日の高揚感、そしてどこか刹那的な大人の恋愛ドラマを映画のワンシーンのように描写しています。ネオン煌めく港町の空気感をシャープな言葉選びで切り取った世界観は、現代のリスナーにも色褪せないヴィンテージな魅力を放っています。
さらに注目すべきは泰葉のメロディセンスと歌唱力です。クラシックの素養とジャズピアノの技術に裏打ちされた転調の効いたメロディラインを、圧倒的な声量と突き抜けるハイトーンで歌い上げるスタイルは、当時のアイドル歌謡とは一線を画すプログレッシブなものでした。そこに井上鑑によるアグレッシブなブラスアレンジとパラシュート人脈を思わせるフュージョンライクなリズム隊が絡み合い、現在のアメリカやヨーロッパのDJたちをも唸らせる「音圧とキレ」が完成したのです。