美食家たちを唸らせているそば処報徳庵のメニューは、極めて研ぎ澄まされた構成となっています。主役となる蕎麦は、敷地内の水車でゆっくりと丁寧に製粉された地元・日光産の玄蕎麦を中心に使用。熱を持たせずに挽かれた蕎麦粉を手打ちで仕上げており、ひとたび手繰れば力強い穀物の香りと上品な甘みが鼻腔を抜けていきます。喉越しの良さと程よいコシのバランスは見事で、甘さ控えめのすっきりとした自家製つゆが蕎麦の輪郭を鮮やかに引き立てます。
そして、訪れる客の実に8割以上が注文するのが名物の天ぷらです。地元農家から仕入れた朝採れの旬野菜を中心に、日光名産の湯波(ゆば)や舞茸、季節の山菜などが惜しみなく盛られています。特筆すべきは、衣の軽やかさと油切れの良さです。高温で一気に揚げられた天ぷらはサクサクとした心地よい食感を保ち、蕎麦の風味を一切邪魔しません。特に「天ざるそば」や「五合打ち・一升打ち(大勢でシェアする盛り蕎麦)」に別盛りの天ぷらを組み合わせるスタイルは、家族連れやグループ旅行者にとって定番の至福ルートとなっています。