アールグレイの名称は、1830年代にイギリスの首相を務めた第二代グレイ伯爵チャールズ・グレイに由来します。しかし、アールグレイの発祥や由来には諸説あり、紅茶史研究者の間でも長年議論が交わされてきました。
最も著名な伝説は、外交使節団の功績により中国の高級官僚(マンダリン)からグレイ伯爵へ秘密の着香茶が贈られ、その味に魅了された伯爵が英国の紅茶商に再現を命じたというエピソードです。しかし当時の中国にはベルガモットが生息していなかったため、実際には中国の「正山小種(ラプサンスーチョン)」や「龍眼(ロンガン)」を用いた着香茶を、英国の軟水で再現しようとしてベルガモット油を代用したというのが学術的に有力な見解となっています。
老舗紅茶商「ジャクソンズ・オブ・ピカデリー」と「トワイニング」の間でどちらが元祖レシピを託されたかを巡る論争が起きたことも、アールグレイが19世紀英国の上流階級においていかにステータスシンボルであったかを物語っています。