朝起きてテレビのリモコンを押し、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビをいくらザッピングしても、流れているのは情報ワイドショーばかり。多くの視聴者が抱く「地上波で放送しない理由」の核心は、感情論ではなく純然たるビジネスの数字にあります。
民放キー局の編成関係者は、近年の放映権交渉の内情について次のように語ります。「大谷選手のドジャース移籍以降、MLBの日本向け放映権料は推定で年間数百億円規模に跳ね上がりました。地上波の午前帯に生中継を編成した場合、試合時間が3時間を超えて昼の帯番組を圧迫するリスクに加え、数千万円から1億円近くに達する1試合あたりの放映コストを、現在の地上波スポットCM収入だけで回収することは財務上不可能です」
かつては視聴率15%を叩き出せば巨額の黒字化が可能だった地上波モデルですが、若年層のテレビ離れと広告単価の下落が進む中、民放にとって「平日午前のMLB生中継」は、高視聴率を獲得しても大赤字を生み出しかねないハイリスク案件へと変貌しました。この結果、潤沢な受信料収入を基盤とするNHK(主にBS放送)と、サブスクリプション課金で採算を取る有料配信プラットフォームに放映権が集約されたのが、ドジャース放映権料高騰の真相です。
なお、2026年シーズンのドジャース戦地上波放送予定を精査すると、開幕戦やオールスターゲーム、ワールドシリーズといった国民的イベント、あるいはごく一部の祝日に限ってNHK総合や民放が録画ハイライト・緊急生中継枠を設ける程度に留まっています。