鰻専門店のサイドメニューを開くと、必ずと言ってよいほど並んで記載されているのが「うざく」と「うまき」です。どちらも鰻を使った名脇役ですが、その性質、提供温度、献立における機能は完全な対極に位置しています。
うまき(鰻巻き)は、甘辛く焼き上げた鰻の蒲焼を芯にして、出汁をたっぷりと含んだ溶き卵で幾重にも巻き上げる温かい出汁巻き卵です。卵の持つコクと出汁のまろやかさが鰻のタレと一体化し、主菜級のボリューム感と多幸感をもたらします。
これに対し、うざくは酸味と清涼感によって舌を研ぎ澄ます「箸休め」「酒肴」としての役割を担います。両者の違いを客観的な指標で比較すると、その設計思想の違いが鮮明に浮かび上がります。
栄養学の観点からも、うざくの機能性は群を抜いています。鰻には豊富なビタミンA、B群、EPA・DHAが含まれる反面、脂質含有量が高いため消化に一定の負担がかかります。合わせ酢に含まれる酢酸やクエン酸は、唾液と胃液の分泌を活性化させて消化を助ける働きを持っています。さらに、胡瓜に豊富に含まれるカリウムが余分な塩分の排出を促すため、タレの塩分が気になる鰻重の副菜として、これ以上ない理にかなった献立構成となるのです。