この爆発的ヒットの裏で、暗躍とも言える緻密な戦略を描いていたのが東宝株式会社だ。メガヒット作を立て続けに公開するというスケジュール編成は、興行界における大きな賭けでもあった。
同社は自社のラインナップにおいて、万人受けを狙うファミリー向け映画だけでなく、エッジの効いた作家性の強い作品にも巨大な配給網を解放した。シネマコンプレックスのスクリーンをフレキシブルに調整し、動員数に応じて即座に上映回数を増やす柔軟な運用を徹底。結果として、スクリーンの占有率がさらなる大ヒットを呼ぶポジティブ・スパイラルが生み出された。一会社による市場のけん引は、結果的に業界全体の底上げに寄与することになる。