決断の根底にあったのは、ryuchell(比嘉龍二)が長年抱え続けてきた性自認をめぐる深い葛藤だった。幼少期から感じていた自身の「あり方」と、社会的に求められる「男らしく頼もしい夫」という役割。PECOと出会い、心から愛し、子供を授かった歓びは本物であったものの、父親・夫として生きれば生きるほど、自分自身の真の姿との乖離が心を苛んでいったという。
自分を隠したまま生きることが愛する家族に対する誠実さと言えるのか。限界まで追い詰められた末に打ち明けられた告白を、二人は何度も涙を重ねながら受け止め合った。それは、自分自身を生きることと家族を守ることの間で葛藤した末の、悲壮なまでの叫びでもあった。