商社を一言で定義すれば、「モノやサービスを売りたい企業と買いたい企業を結びつけ、円滑な取引と新たな価値を創出する企業」です。日本独自の発展を遂げた業態であり、欧米には同規模の「総合商社」に該当する企業形態がほぼ存在しない点も大きな特徴といえます。
商社の収益構造を理解する上で不可欠なのが、「トレード」と「事業投資」という2つの車輪です。
第1の柱である「トレード」は、商社創業以来の伝統的なビジネスです。例えば、海外の鉱山から鉄鉱石を買い付け、国内の鉄鋼メーカーへ安定的に納入する仲介業務を指します。商社は単に仲介手数料(コミッション)を得るだけでなく、為替リスクのヘッジ、船舶の手配、通関手続き、在庫管理など、国際物流に付随するあらゆるリスクを引き受けることで利ざや(マージン)を獲得します。
第2の柱である「事業投資」は、現在の商社における最大の利益源です。トレードで培った業界知見やネットワークを活かし、資源開発プロジェクト、物流網、小売チェーン、再生可能エネルギー発電所などに直接出資します。単なる資金提供にとどまらず、商社から経営陣や専門人材を送り込み、自社の流通網やノウハウを掛け合わせて投資先企業の企業価値そのものを引き上げ、配当金や株式売却益(キャピタルゲイン)を得る仕組みです。