皮膚に現れる黒褐色や褐色の斑点は、医学的には「母斑細胞母斑(色素性母斑)」と呼ばれる良性の病変であることが大半です。母斑細胞が皮膚内部で規則正しく増殖・配列しているため、基本的には左右対称で輪郭が滑らかに整っています。対して、悪性腫瘍である皮膚がんはがん細胞が無秩序かつ無制限に増殖を繰り返すため、構造そのものが破綻している点に良性ほくろ悪性腫瘍違いの本質があります。
世界的な皮膚科学の現場で標準化されている指標が、国際的に用いられるABCDEルール判定法です。鏡の前で自身の肌を確認する際、以下の5つのチェック項目が極めて強力なスクリーニング指標として機能します。
・A(Asymmetry:左右非対称性):中心に仮想の線を引いたとき、左右または上下の形が一致しない。
・B(Border:輪郭の不整):境界線がギザギザしていたり、ぼやけて周囲の皮膚にしみ出している。
・C(Color:色調の不均一):均一な黒や茶ではなく、濃淡のムラ、青・赤・白・灰色の混在が見られる。
・D(Diameter:直径の大きさ):病変の長径が6ミリメートル以上(鉛筆の消しゴムサイズ)に達している。
・E(Evolving:病変の変化):数週間から数か月の短期間で大きさ、形、色、隆起の度合いが変化している。
「昔からあるほくろだから平気」という思い込みは危険です。成人以降に突如として現れ、皮膚がんほくろ急に大きくなるという変化を見せた場合、細胞レベルでの異常増殖が進行している警告シグナルと捉えなければなりません。