デヴィ夫人の周辺で裁判沙汰が相次いだ発端は、自身が代表や名誉会長を務めてきた関連団体・個人事務所における深刻な金銭トラブルと横領疑惑の告発に端を発します。事態が泥沼化した経緯には、大きく分けて3つの段階が存在します。
第一の火種となったのは、かつて所属していた個人事務所「オフィス・デヴィ・スカルノ」における元経理担当者による巨額横領事件でした。信頼して金銭管理を一任していた側近が、長年にわたり約1億7000万円以上を私的に着服していた事実が発覚。警察の捜査を経て元経理担当者が逮捕・起訴され、実刑判決が下る事態となりました。この事件によって、デヴィ夫人の金銭管理体制の脆弱性と、側近への過度な依存という構造的リスクが浮き彫りになりました。
第二の波乱は、デヴィ夫人が設立に関わった慈善団体「アミチエ・ソン・フロンティエール・ジャポン(現・一般社団法人アミチエジャポンなど)」を巡る内部対立です。団体の代表理事らとの間で運営方針や寄付金の使途、代表権の帰属を巡って深刻な亀裂が生じ、双方が横領や背任を主張して警察への告訴状提出や理事解任劇へと発展しました。
そして第三の局面が、これら内部紛争を報じた『週刊文春』をはじめとする大手週刊誌への名誉毀損訴訟です。「デヴィ夫人が団体の資金を私的流用した」とする告発記事に対し、デヴィ夫人側は「事実無根の虚偽報道であり、社会的評価を著しく失墜させられた」と猛反発。損害賠償と謝罪広告を求めて東京地方裁判所に提訴したことで、法廷闘争は全面戦争の様相を呈しました。