浜松城が「出世城」と評される所以は、徳川家康が29歳から44歳という血気盛んな時期をここで過ごし、関ヶ原の戦いや江戸幕府開設へとつながる強固な地盤を作り上げたことにある。さらに後世、歴代の城主となった徳川氏の重臣たちが幕府の要職へと次々に昇進していった歴史も、この城の持つ特別な強運を証明している。
歴史観光で訪れた際に絶対に素通りできないのが、400年以上もの時を超えて現存する「野面(のづら)積み」の石垣だ。自然石を加工せずにそのまま積み上げるこの技法は、一見すると不揃いで荒々しく見えるが、内側の排水性に優れ、驚くほどの堅牢さを誇る。乱雑の中に宿る職人技の緻密さを間近で観察すると、当時の武将たちが抱いた壮大な気概がじんわりと伝わってくる。