ここで改めて、第1話「死者からの伝言」のプロットとトリックのポイントを振り返ります。
小石川ユリは、別荘の地下にある大型金庫室に、口論となった交際相手の編集者・畑野(池田成志)を閉じ込め、窒息死させます。豪雨による停電と山道での立ち往生というアクシデントに見舞われ、偶然別荘へ助けを求めてやってきたのが古畑任三郎と部下の今泉慎太郎(西村まさ彦)でした。
ユリは冷静に事故や外部の犯行に見せかけようと振る舞いますが、古畑は以下の不可解な点に違和感を抱きます。
- 被害者が残したダイイングメッセージ:被害者は暗闇の金庫内で、持っていた原稿用紙に血文字ではなく「爪で引っ掻く」形で文字を残していた。
- 暗証番号の謎:なぜ被害者は暗がりの中で金庫を開けて脱出できなかったのか。
- 犯人の靴と行動の矛盾:豪雨の中で靴を汚さずに外へ出られた不自然さ。
被害者が最後に残したメッセージの解読と、ユリが咄嗟についた嘘の論理的矛盾を突き詰めた古畑。事件が暴かれた瞬間のユリの切ない表情と、古畑の静かな敬意が交錯する幕引きは、ミステリー史に残る名場面として語り継がれています。