球場全体を固唾をのませる反則判定。その根底にある思想は極めてシンプルだ。「ピッチャーが不正にランナーをアウトにしようとする行為を防ぐこと」。これに尽きる。
公認野球規則には、主に13項目の違反行為が明記されている。その中でも試合中に多発する典型的なケースは大きく分けて4つ存在する。
第一に、セットポジションにおける「静止の欠如」だ。ピッチャーは投球前に両手を身体の前で合わせ、完全に身体の動きを止めなければならない。わずか1秒足らずの静止であっても、肩や膝が僅かに動いていれば審判員は見逃さない。第二に「投球動作の中断」である。一度投げ始めようとした体を途中で急停止させる動作は、走者のタイミングを不当に外すため厳格に禁じられている。
さらに、牽制球における足の踏み出し方向も重要だ。投げようとする塁に対して、足の向きが正しく直線上に踏み出されていない場合や、ランナーのいない塁への偽投も反則の対象となる。近年ではピッチクロック(投球制限時間)の厳格化に伴い、時間ギリギリで焦った投手がセットポジションの不完全なまま投球を開始して判定を受ける場面も急増している。