主演の松坂桃李を支える共演陣の吹き替えも見事な完成度を誇ります。映画版ならではの贅沢なキャスティングが、作品の世界観を一段上のエンターテインメントへと引き上げています。
第1作で冷酷非道な悪役ミリセントを演じた木村佳乃は、原語版のニコール・キッドマンが放つ妖艶さと狂気を完璧にトレース。高圧的でありながらどこかコミカルな悪女像を、切れ味鋭いセリフ回しで見事に演じ切りました。
ブラウン家の父親ヘンリーを演じる古田新太は、舞台仕込みの確かな発声と独特の間合いで、気難しくも家族想いな父親の不器用な愛を表現。物語が進むにつれてパディントンに心を開いていくグラデーションの芝居は、作品の大きな感情的支柱となっています。
さらに『パディントン2』で変装の名手フェニックス・ブキャナンを演じた斎藤工は、ヒュー・グラントの自己愛に満ちた滑稽な演技にシンクロ。七色に声を使い分ける難役を軽妙かつドラマチックに演じ、観客を大いに楽しませました。