祈りは鳥居の前から始まっている。鳥居は神様の領域と人間が暮らす俗界とを隔てる「結界」だ。会釈を一礼してから鳥居をくぐる。これだけで、背筋が自然と伸びるはずだ。
参道の中央は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様が通る道とされている。そのため、歩くときは中央を避け、端を歩くのが鉄則。また、参道を進んだ先にある手水舎(ちょうずや)での清めも決して省略してはならない。
手水舎での正しい手順はシンプルだが、洗練されている。
一、右手で柄杓を持ち、水をすくって左手を洗う。
二、柄杓を左手に持ち替え、右手を洗う。
三、再び右手で柄杓を持ち、左手に水を受けて口をすすぐ(柄杓に直接口をつけない)。
四、もう一度左手を洗い、最後に柄杓を立てて残った水で柄を洗い流し、伏せて置く。
たった一度すくった水でこれらすべての動作を完結させるのが美学だ。この禊(みそぎ)の簡略化された儀式を経ることで、身も心も清らかになり、神前へ立つ準備が整う。