「なぜクロアチアのサポーターはあれほどまでに日本人ドリブラーに熱狂したのか」――その理由は、ディナモ・ザグレブのサポーター集団「バッド・ブルー・ボーイズ(BBB)」が見せる極めてシビアな評価基準にあります。名門のプライドを持つ彼らは、ネームバリューではなくピッチ上の闘争心と決定的な仕事を何よりも重視します。
加入直後の適応期間を経て、金子がUEFAカンファレンスリーグのレアル・ベティス戦など大一番で見せた圧巻のドリブル突破と値千金のゴールは、ザグレブの街中を歓喜の渦に巻き込みました。現地スポーツ紙の記者は当時の様子を「スタジアム全体がタクロウのボールタッチ一つで沸き立ち、相手DFが後退する姿を見て確信的な歓声を上げていた」と証言しています。
ディナモ側は完全移籍での買い取りを熱望したものの、移籍金を巡る交渉やクラブ間の条件面、さらには選手本人が掲げる「より欧州5大リーグへのステップアップを見据えた出場機会の確保」というキャリア戦略が交錯しました。その結果、攻撃の主軸として明確なオファーとプロジェクトを提示したベルギーのKVコルトレイクへの移籍が実現したのです。ステップアップリーグと呼ばれるベルギーでの挑戦は、金子にとって自身の価値をさらに高めるための極めて論理的な選択でした。