大量生産・大量消費の時代において、効率性ばかりが重視される中、この店は真逆の道を歩んでいる。全国各地の信頼できる牧場から、店主自らが足を運んで厳選した牛を「一頭買い」するスタイルを貫いているのだ。部位ごとに最適な熟成期間を見極め、最も美味しい状態で提供する技術は、一朝一夕で身につくものではない。
「肉の部位によって、切り方ひとつで味が全く変わる」と店主は語る。繊維の流れを読み、ミリ単位で刃を入れる角度を変える。この繊細な職人技こそが、機械カットでは決して真似できない口当たりの良さを生み出している。