九州におけるツキノワグマの歴史は、1987年に大分県と宮崎県の県境に位置する祖母・傾山系で射殺された1頭のメスを最後に、公式な確認が途絶えています。この個体が「九州最後のクマ」とされ、その後四半世紀にわたる本格的な調査でも生息の証拠は見つかりませんでした。
そして2012年、環境省はレッドリストを改訂し、九州地方のツキノワグマを「絶滅」と判定しました。科学的なアプローチとして、糞や体毛のDNA分析、赤外線センサーカメラによる監視が長年続けられましたが、生息を示す決定的なデータはゼロ。専門家たちは「生存の可能性は極めて低い」と結論づけたのです。