正宗賞の受賞以降、刀剣ファンのみならず文化関係者の間で常に囁かれ続けているのが「重要無形文化財保持者(人間国宝)」への認定です。奈良県指定の無形文化財保持者にはすでに認定されており、古刀再現という前人未到の功績を鑑みれば、国の人間国宝の最有力候補として名前が挙がるのは極めて自然な流れといえます。
傘寿を越えた現在でも、河内氏の作刀への探究心は衰えていません。近年は自身の作刀活動と並行して、各地の美術館や博物館での特別展覧会、講演会などを精力的に展開。刀剣ブームで日本刀に興味を持った若い世代や海外の愛好家に向けて、日本刀の「鉄の美しさ」を伝える活動に力を注いでいます。
展覧会で河内氏の作品が展示されるたび、刀身に宿る幻想的な「映り」を一目見ようと、展示ケースの前には長い列ができます。近年開催された特別企画展でも、光の当たる角度によって千変万化の表情を見せる太刀が多くの来場者を圧倒しました。最前線で鉄を打ち続けるその背中は、現代の職人たちに計り知れない勇気を与えています。