後宮という場所は、華やかさと絶望が表裏一体となった閉ざされた世界だ。妃たちの激しい嫉妬や実家の権力闘争、さらには命を脅かす毒殺の危険までが日常茶飯事として転がっている。その過酷な環境下で、翡翠宮(ひすいきゅう)の主として圧倒的な存在感を誇る彼女の強さは、単なる運の良さによるものではない。
彼女の本当の凄みは、自分の置かれた立ち位置を完璧に客観視できる能力にある。皇帝からの愛に決して甘えず、己の後ろてて(西州の貿易商としての財力や政治的背景)や、帝のお気に入りとしての立場を冷静に計算し尽くしているのだ。感情的になって取り乱すような他の妃とは一線を画し、静かな微笑みの裏で常に最善の手を打ち続ける姿は、見る者に底知れぬ凄みを感じさせる。