インターネット上の掲示板やSNSで「白倉トンネル」と検索すると、心霊スポットとしての噂や体験談が数多くヒットします。代表的な証言としては、「坑口付近で白い影を目撃した」「トンネル内で電子機器やスマートフォンのカメラが突如フリーズした」「車内を満たす異様な重圧感を感じた」といった内容が定型句のように語り継がれてきました。さらに、近年のオカルト系YouTuberによる実況配信や心霊検証動画の流行が、こうした不穏な言説の拡散に拍車をかけています。
しかし、これらの超自然現象と結びつけられたネットの反応を冷徹に分析すると、山岳トンネル特有の物理的環境と人間心理の相互作用が浮かび上がってきます。現地は深い山中に位置し、夜間は完全な漆黒に包まれます。人工的な光が存在しない空間において、車のヘッドライトが不規則に湿ったコンクリート壁や岩肌を照らす際、人間の脳は無機質な陰影を人の顔や姿と誤認する「パレイドリア現象」を極めて起こしやすくなります。
さらに、トンネル内部の特殊な音響反響構造も怪談を助長する要因です。風の吹き込みや遠くの湧水音、微小な落石の反響音は、坑内において「低周波のうめき声」や「足音」のように歪んで耳に届きます。これに「過去に事故があった危険な場所」という予期不安(心理的プライミング効果)が加わることで、ごく日常的な物理現象が怪異として認知され、都市伝説として固定化されていったのが心霊スポット説の真相といえます。