この未曾有の熱源を辿ると、一人の表現者の存在に行き着く。当代きっての浪曲師として知られる玉川奈々福だ。唸り、語り、三味線と呼吸を合わせながら物語を紡ぐ彼女のステージは、単に受け継がれてきた型をなぞるのではない。人間の滑稽さ、哀愁、そして生きることの切実さを剥き出しにして観客にぶつける。その圧倒的なパッションに触れたクリエイターたちが、こぞってインスピレーションを掻き立てられたのは必然だった。
日本浪曲協会が守り伝えてきた伝統の鉱脈から、現代人が最も渇望するピュアな情動を掘り起こす作業。日本の伝統芸能という堅苦しいパブリックイメージは、彼女の撥さばきと唸り声によって完全に解体された。「型があるからこそ、どこまでも自由になれる」——その思想が作品の骨格となり、観る者の身体感覚を直接刺激する力へと昇華されている。