現在多くの人々を見守っている銀の鈴は、最初から今のような重厚な工芸品だったわけではありません。時代の移り変わりとともに素材や形状を変え、現行モデルは4代目にあたります。
歴代の鈴がたどった歩みを振り返ると、東京駅の発展の軌跡が浮き彫りになります。
・初代(1968年設置):駅員の手作りによる完全なDIY作品でした。竹ひごで骨組みを編み、和紙を幾重にも貼り重ねた上に銀紙を巻いた直径約70cmの軽量な鈴でした。内部には本物の風鈴が仕込まれており、天井から吊り下げられて大反響を呼びました。
・2代目(1969年設置):初代が手作りゆえに傷みやすかったことから、わずか1年後に金属製の鈴へと刷新。東京駅八重洲口の名店街から寄贈された銅合金製・銀メッキ仕上げの鈴で、長らく親しまれました。
・3代目(1985年設置):東北・上越新幹線の東京駅乗り入れ計画や上野駅開業に合わせ、アルミニウム合金製の近代的なデザインへとリニューアル。銀色に輝く巨大な鈴として、国鉄分割民営化とJR東日本発足の激動期を支えました。
・4代目(2007年〜現在):エキナカ商業施設「グランスタ」の開業に伴い新調。金属工芸家で東京藝術大学学長や文化庁長官を歴任した宮田亮平氏が制作を手掛けました。純銀とアルミ青銅で鋳造され、上部にはイルカをモチーフにした宮田氏の代表作「シュプリンゲン(飛翔)」が躍動する芸術的モニュメントとなっています。