「中庭で周囲を気にせず子どもとプール遊びをしたい」「リビングのカーテンを開け放して暮らしたい」。そうした明確な理想を掲げてコの字型の平屋を選んだはずの施主たちが、入居後に直面する現実があります。大手住宅ポータルや設計事務所のヒアリング記録を精査すると、コの字平屋後悔の理由として浮き彫りになるのは、幾何学的な形状そのものが引き起こす「動線」と「コスト」の二重苦です。
一般的な四角形の総二階や長方形の平屋に比べ、コの字型は建物の凹凸が激しくなります。これは建築工学上、外壁の表面積が同一床面積の正方形プランに比べて約1.3倍〜1.5倍に増大することを意味します。外壁材や基礎の立ち上がり、屋根の役物部材が増えるだけでなく、熱損失の面積も広がるため、冷暖房効率を担保するための断熱施工費もかさみます。これが「想定外の予算オーバー」を引き起こす最大の元凶です。
さらに深刻なのが日々の生活実感です。ある建築主は自著の家づくり手記で、「中庭を挟んだ反対側にある子供部屋や洗濯スペースに行くたび、ぐるりと廊下やLDKを回り込まなければならない。暮らして3ヶ月で『中庭を突っ切る直線通路が欲しい』と痛感した」と赤裸々に綴っています。中庭という魅力的な余白が、日常の移動においては巨大な障害物へと変貌してしまう構造的矛盾。これが後悔の核心に他なりません。