刑事事件における「書類送検」の正式な法律用語は「事件送致(書類送致)」です。刑事訴訟法第246条本文の規定に基づき、警察などの司法警察員が犯罪の捜査を遂行した際、原則としてすべての事件の証拠物および捜査書類を検察官へ引き継ぐ手続きを指します。
一般に「逮捕」と混同されがちですが、両者の本質的な相違は「被疑者の身柄を拘束しているかどうか」という1点に集約されます。警察による捜査手法は、大きく分けて以下の2つのルートが存在します。
- 身柄事件(逮捕・勾留):逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れが高いと判断された場合、裁判官の発付する令状に基づき被疑者の身体を拘束して捜査を進める手続き。
- 在宅事件(書類送検):定まった住居があり、逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断された場合、日常生活を送らせながら必要に応じて警察署への出頭を求め、書類と証拠のみを検察庁へ送る手続き。
法務省が公表する犯罪白書の統計データを紐解くと、警察が認知・処理した刑法犯のうち、全体の約7割〜8割は逮捕を伴わない「在宅事件(書類送検)」として処理されています。「書類送検=特別な例外」ではなく、身柄拘束を厳格に制限する近代刑事司法の原則(在宅捜査の原則)に則った標準的な手続きです。