子供が鼻くそを食べるのはなぜ?癖や心理的背景と叱らない対処法解説

子供が鼻くそを食べるのはなぜ?癖や心理的背景と叱らない対処法解説

子供が鼻くそを食べるのはなぜ?癖や心理的背景と叱らない対処法解説とは一体何なのか? 専門的な分析を簡潔に解説します。

インターネット上で定期的に話題となるのが、「鼻くそを食べると免疫力がアップする」という言説です。この噂の出所をたどると、2013年頃にカナダのサスカチュワン大学の研究者が提唱した「鼻腔内の無害な病原体を微量に摂取することで、腸管免疫が刺激されアレルギー予防や自己防衛力向上につながる可能性がある」という仮説に行き当たります。また、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)などのチームによる「唾液や粘液に含まれるムチンが虫歯菌の吸着を防ぐ」という基礎研究がセンセーショナルに歪曲され、一般に流布した経緯もあります。

しかし、現代の小児感染症科医および耳鼻咽喉科医の間では、「鼻くそを食べることで得られる免疫効果に臨床的証拠は皆無であり、医学的リスクのほうが遥かに上回る」というのが一致した見解です。

鼻腔は外気を取り込むフィルターであり、空気中のチリやホコリ、ウイルスを粘液で吸着して気管や肺を守る役割を果たしています。つまり鼻くそとは、濃縮された有害物質と病原体の塊に他なりません。これを恒常的に摂取し、粘膜を傷つけることには以下のような深刻な健康被害が伴います。

第一のリスクは細菌感染症の蔓延です。鼻腔の入り口には、食中毒や皮膚炎の原因となる黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が高確率で常在しています。指で粘膜を傷つけながら鼻くそを口に運ぶ行為は、指先の細菌を鼻へ、鼻の細菌を口腔や消化管へと相互感染させる経路を開くことになります。傷口から細菌が侵入すると、鼻の周囲が赤く腫れ上がる「鼻前庭炎」や、全身に水疱が広がる「伝染性膿痂疹(とびひ)」を発症する危険が高まります。

第二のリスクが習慣性の鼻血と粘膜損傷です。小児の鼻中隔前下部には「キーゼルバッハ部位」と呼ばれる血管が網の目のように集中した脆弱なエリアがあります。鋭い子供の爪でこの部位を繰り返し引っ掻くことで、頻繁な鼻血を招き、血管が露出してさらに出血しやすくなる悪循環に陥ります。

斉藤 蓮
著者

斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。