なぜ田中角栄の名言は刺さるのか?人心掌握術と仕事の流儀を解剖

なぜ田中角栄の名言は刺さるのか?人心掌握術と仕事の流儀を解剖

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1972年に発表され、空前のベストセラーとなった自著『日本列島改造論』。この構想の背景には、新潟の豪雪地帯で極貧の少年時代を過ごした角栄の実体験が深く刻まれています。冬になると雪に閉ざされ、出稼ぎに出なければ生きていけなかった故郷の窮状を救うため、高速道路網と新幹線網で全国を結び「都市と地方の格差を解消する」という一大ビジョンでした。

この政策思想の根底にあったのは、「政治は結果責任であり、国民の生活水準を具体的に引き上げることこそが唯一の正義」という強烈な政治哲学です。観念的なイデオロギー闘争に明け暮れる既成政界に対し、角栄は道路1本の舗装、トンネル1本の開通がどれだけ人々の暮らしを激変させるかという現場のリアリティで対抗しました。

もちろん、この大規模インフラ投資は後に列島規模の土地投機や狂乱物価を招いたとして厳しい批判を受けることになります。しかし、現代の日本の大動脈となっている新幹線網や高速道路網の骨格が、この時期の意思決定によって築かれたことは客観的な事実です。構想の是非はともかく、構想を具現化するための立法能力(議員立法成立件数は歴代屈指)と推進力は、政治史上類を見ないものでした。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。