X(旧Twitter)やInstagramなどのソーシャルメディア上では、日夜「#今日の誕生花」「#誕生花診断」といったハッシュタグが飛び交っています。毎朝投稿されるボタニカルアートと共に「本日の誕生花:〇〇。性格:表向きは穏やかだが芯に燃えるような意志を秘める」といった投稿が数万件のリポストを集める光景は日常茶飯事です。
大手質問サイトや掲示板(Yahoo!知恵袋や5ちゃんねる等)を観察すると、そこには二極化した「今日の誕生花 ネットの反応」が存在します。
「今日の誕生花、まさに自分の性格そのもので鳥肌が立った!」「誕生花性格診断で言われた『孤独を愛する職人気質』、ドンピシャすぎて救われた」という歓喜と共感のコメントが溢れる一方で、「自分の誕生花を調べたら『裏切り』だった……親にどんな目で見られて産まれたのかと本気で病みそう」「友達の誕生花占いが毒舌すぎて笑えない」といった戸惑いや憤りの声も散見されます。
なぜ人間は、科学的根拠に乏しい植物の分類にここまで心を揺さぶられるのでしょうか。心理学の観点から分析すると、ここには明確な2つの認知バイアスが作用しています。
第一に、心理学者バートラム・フォアが提唱した「バーナム効果(フォアラー効果)」です。誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な性格描写(「あなたは普段明るく振る舞っていますが、内面には誰にも言えない不安を抱えています」等)を、自分だけに向けられた正確な洞察だと錯覚してしまう心理傾向です。誕生花に付随する性格解説の多くは、この心理的レバーを巧みに引いています。
第二に、「確証バイアス」です。自分の性格と一致していると感じるエピソードばかりを記憶に留め、当てはまらない要素を無意識に切り捨てることで、「誕生花診断は驚くほど当たる」という主観的真実を作り出してしまうのです。SNSでの熱狂を楽しむこと自体は無害なエンターテインメントですが、そこに書かれた性格診断を盲信し、他人の人格を決めつけるレッテル貼りとして用いることは厳に慎まなければなりません。