読者の多くが頭を抱えるのが、「馬と牛はどちらを先に飾るのか」「顔をどちらに向けるのが正解なのか」という配置の作法です。これらは地域や家のしきたりによって細かな差異があるものの、仏教民俗としての明確な基本線が存在します。
まず、お盆の基本日程は一般的に8月13日から16日までの4日間(東京や横浜の一部地域など旧暦を重んじるエリアでは7月13日から16日)です。
「どっちが先か」という問いに対しては、「初日(13日)の迎え盆から最終日(16日)の送り盆まで、2頭揃えて並べておく」形式が現代の主流です。ただし、厳格なしきたりを守る地域では、13日の迎え盆には「馬」のみを飾り、15日または16日の送り盆に差し掛かるタイミングで「牛」を登場させる、あるいは交代させるといった作法をとる場合もあります。
次に、最も混乱しやすい「飾る向き」の真相を整理します。
一般的な住宅における配置基準は「先祖が移動する方向」に頭を向けることです。すなわち、以下の2パターンが全国的なスタンダードとなります。
- 迎え盆(8月13日〜14日頃):ご先祖様を外から家の中へ迎え入れるため、馬の頭を「仏壇(または盆棚・部屋の内側)」に向ける。
- 送り盆(8月15日〜16日):ご先祖様があの世へ旅立たれるため、牛の頭を「玄関(または窓・外側)」へ向ける。
期間中ずっと同じ場所に並べておく場合は、「馬は内向き(西または仏壇向き)、牛は外向き(東または玄関向き)」とあらかじめ対向させて置く地域も存在します。極楽浄土が西方にあるとされる仏教観に基づき、方角を重視して「東から迎えて西へ送る」と設定する寺院の指導もあり、迷った際は「我が家へ入ってくる姿」「見送る姿」を素直にイメージして配置するのが合理的です。