この難問の歴史は、天才たちの苦闘と栄光の歴史でもある。19世紀のリーマンによる提示以降、アダマールやヴァレー・プーサンによる素数定理の証明など、いくつもの金字塔が打ち立てられてきた。しかし、予想の核心部には誰も手が届かなかった。あまりの難解さに「悪魔に魂を売り渡さなければ解けない」と称されたほどだ。
21世紀に入り、新たな風を吹き込んだのがフィールズ賞受賞者であるテレンス・タオをはじめとする現代最高峰の頭脳たちだ。タオはグリーン・タオの定理を皮切りに、解析的数論や加法的組合せ論の強力な手法を用いて、素数分布の深層構造を次々と解き明かしてきた。彼はリーマン予想そのものに直球で挑むだけでなく、その周辺に横たわる無数の構造的障壁を取り払う先導役を果たしている。